フリーランスデザイナーのわたしが田舎へ移住した実際

畑、ニラに花がさいてきました 移住生活

行ってみたかった憧れのリゾート地でアルバイト!【リゾバ.com】


私はフリーランスWebデザイナーになって東京から鹿児島の離島に移住しました。
移住して2年目の経緯と実際をお知らせします。

1.移住って引っ越しだよね、という感覚でコストの安いほうにいきました。

フリーランスだと、打ち合わせ以外は自宅作業になります。
東京・下北沢で一人暮らしする6畳のアパートは、通勤などにはすごく便利だったのですが、
とにかく狭くて狭くて。作業に集中できやすい環境、というのを探していました。

やっぱり、家賃も高くて。
家賃や月々の維持費を払うためだけに、仕事をやっつけていく姿勢が自分のなかにあって。

そして、貯金がなくて。
東京でも、2部屋くらいで3万円くらいの物件を探したのです。
青梅や埼玉の北のほうだと4-5万円くらいでありました。
ただ、フリーランス、というので、貯金が300万円以上ないと借りれなく。貯金はほとんどなく。
定額収入を保証するものがあれば、それでも大丈夫だったみたいですが、それもなかったので、断念しました。
また、下北沢では家賃7万円位だったので、青梅や埼玉の北のほうの家賃4-5万円くらいだと
大きな支出減のインパクトはないだろう、と考えました。

それで、移住制度も同時並行で、色々と調べていました。
制度がなくても、住んでいるだけでコストが安くなる、というのがないか、サイトで調べて
現地にいったりしました。

サイトで締め切り終了、となっているものも、応募してみたり。
それで現離島もサイトでは締め切り終了、となっていたのですが、応募したら1戸あいているということで
面接や下見などを経て移住までたどりつきました。
ここは、とても手厚い手当があり、3年ですが、私は生活しながら、家賃をひいても6万2千円の手当をもらっています。住宅費も畑も作れる庭、駐車場、3LDKで2万3千円のほぼ新築に住めることになりました。
以前の3分の1の金額で、とても広い空間のなかで生活できるようになりました。

3LDKの家

2.田舎の空間の広さ

田舎の空間の広さは、東京に住んでいた頃には想像もできない広さです。
部屋のなかも広々と住めますし、家の外もそうです。窓の外には、山と海しかみえない、
という環境です。
お客さんや配達は時々来られますが、外を歩いている人はみなさん顔見知りの方ばかりです。
なので、私は、まだカーテンを買ってません。
そろそろ買おうかな、と思いつつ、測ったりする時間がなくて、半年くらい放置しています。
あと、実は家の鍵もかけてないのです。ものを盗るほうがリスクがある村なんです。
旅行者もいますが、その旅行者はフェリーでしかこれないので、大体把握できてしまいます。
この前、宿の方と話したら、業者が宿泊のほとんどを占める。といったような島です。
そんななかで移住者として村のために何ができるか、というのは、色々考えていきたい部分ではあります。

庭の畑・さつま芋

※庭の畑です。近所の方に芋の苗を植えてもらいました。(6月)

テストで採ってもらったさつま芋と小松菜
※庭で植えてもらった苗が育ち、この前採ったさつま芋(少しテストで採ってもらった)と
そこかしこに生えている虫食った小松菜(9月)

3.フリーランスと田舎をかけあわせた孤独の気持ちよさ

そんな離島でひとりで暮らしていると、寂しくないの?と聞かれますが、
最近は少し寂しいです。
住んで半年くらいは、満員電車や人から解放されて、ほんとうに本当に幸せでした。

私は「勝ちたくないけど負けたくない」タイプの人間で
マウンティングしてくる人からは逃げたいし、マウンティングしたくない。
人に依存したくないし、されたくない。

今、人にほとんど会わない生活をしています。
時々のやりとりはあります。
野菜や魚をもってきてもらったり、仕事を手伝ってもらったり、手伝ったり。
出会えば、挨拶します。

でも、会社にいって、毎日顔をあわせないといけない、
電車に乗ったら、知らない人がパーソナルスペースにいる、
などの強制力のある人間関係がほとんどありません。
(仕事も今はスカイプで時々話す程度の関係です)
友達もたまに東京や地元にいったときに会う程度になりました。

それで、人間とのかかわりが断たれました。
人間関係の前提が変わりました。
わたしって自分を対人で相対的に決めていることも多かったな、と思いました。

言いたいことを言えてなくて、それは、もしかしたらただ流されていただけなのかな、とか。
あの人のために、、って思ってやってたことって、ひとりよがりの、自分が気持ちよくなりたいだけのことだったのかな、とか。
でも、イマの自分が自分でいられるのって、逆に今まで出会った人たちや、すきだった人や友達のおかげだな、とか。

一人で静かに暮らしているから、みえてくることがあるように思います。
寂しさに逃れるように周りに同調して、いい人ぶってたときは、自分に見えなかった
嫉妬、妬み、嫉み、が形として現れて、消化できたような感じがします。
自分の悪意をいままで感じられなかったのですが、本当は感じていたな、とか。自然がセラピーになっています。

やる気ない事をいうけれど、みんな一人で生きているじゃないですか?
それを本当に一人になると理解できる、整理できる。
修行僧かよ、とも思い笑っちゃうけど、私、本当はこれをずっと感じたかったんだ、と思いました。

もう少し、これを経験したら、ちゃんと寂しさや一人を理解出来たら
周りを巻き込むことがもう少しうまくできるようになるだろう、と思っています。ここから始めたいな、と。

一人になりたくてなれない人って大勢いるように思います。
いつの間にか巻き込まれて、すり切れてしまって、そんな場合は、こういう方法ももしかしたら
あるかもしれません。

ここは何もないです。だから来たんだよ。

パクチー

※パクチーが枯れたあとの種を玄関で保管していました。この種からは芽がでませんでした。

4.海がみえて庭の畑を気にしながら仕事してる

何もない、ですが、窓の外を眺めると海がみえて
庭の畑を気にしながら、仕事ができる環境です。

東京だと、ベランダもなくサボテンやシソも枯らしてしまった(会社員時代の話です)私ですが、
今は、大根、キャベツ、きゅうり、かぶ、パクチー、とまと、ゴーヤ、ニラ、ねぎなど。。
あらゆる野菜を育てるようになりました。
育て方は結構、適当です。適当でも太陽と水と土で野菜って育つんだなーと感動します。
逆に、一晩強い風があったときなど簡単に風にとばされたりもしている苗もあり、そんなのに一喜一憂しています。

作物を育てながら(といっても大変だったのは開墾時くらいで今は水やり、時々肥料をやるくらい)Webの仕事をするのは、バランスがすごくとれているように思います。
メールや電話してて、いーー!ってなったら畑で草刈りして、その雑草投げつけて。

作物については、収益なんかは、全然無理だと思いますし、
食費削減、までもまだいってません。
種まいてもうんともすんともの野菜たちもいっぱいありました。土や肥料、用具なども意外と高かったです。
ただ今年秋からは、2週目なので、コスパよい野菜もわかってきたように思うので、
食事削減、できるようになりたいな、と思っています。

ゴーヤの花からなる実

5.時々出張などを入れて都会にいく、ただお金がかかる

私は移住する前直近は10年くらい下北沢に住んでいました。
下北沢は大好きな街だったけど、再開発や老朽化、ネットの普及なんかでどんどん
よかった店が閉店したり、チェーン店が多くなったり、で残念な方向に進んでいたように思って
それも移住した理由だと思います。

でも、時々「近所のビレッジバンガードへふらっと寄る」「古着やをぶらぶらする」「行きつけのマッサージ屋さんにいく」「友達などと飲む」などは、ぼーっとしたときにふわっとそのシーンが浮かび上がって、近所にそういうのがあったらなーとつくづく思います。

都会の生活も自分のなかに残っていて、
時々それをしないと自分が固まってしまうような気持になります。
だから、というか、用事もあるので、なるべく東京などにはいくようにしています。
人間には、都会も田舎もどっちも必要なのでは、と思います。
孤独も必要だし、人といることも必要だと思います。

ただ東京にいく、というのは費用がかかりすぎるのが課題です。
今は、打ち合わせ、営業、セミナーなどは一緒にまとめてするようにしていますが、
ホテル・飛行機など私が住んでいるところからだと、色々あわせて10万円以上かかってしまうので、もう少し上手いやり方を模索中です。

6.田舎のフリーランスは仕事が生まれやすい

移住して、最近は地元関係の仕事をいただけるようになりました。
地域おこしプロジェクトブログの立ち上げ・運営です。
役所に遊びにいって雑談していたら、いつの間にか決まっていきました。
私は「ここに住むんだったら何かしないと」と思っていたので、すごくうれしかったです。
ただ、クラウドワークスや東京の感覚で仕事が出来てない現状があります。
クライアントやスタッフのリテラシーが低いので、ディレクションコストがかかりすぎるんです。

見積もりは1.5倍くらいにしないと割があいません。
地元ルールもあります。
今後、もうちょっと利益がでるような形でハンドリングしていかないとうまくいかなそうです。
やりがいはすごくありますし、ポテンシャルはあるので、インフラを整えるやり方を色々考えないとなー。

8.田舎の移住者の優秀さ

わたしが住んでいる離島は、移住制度が充実しているので地域おこし協力隊や移住者がいます。元々住んでいる島民とはカラーが違って、キャラが強く審査に通るだけの一定の優秀さがあるように思います。
ただ、私の住んでいる地域は、移住者と島民がうまくいっているようには思えません。
移住者は島民の歴史や制度に従っていて、自身のスキルを発揮して、何かを作っていく、というような形ではありません。(はたから見てて楽しいのかな、、という気持ちもあります。私は割とやりたくないことは不参加です。それが正解とは思えませんが。)
東京だと、新卒で50万円くらいで働けるだろう大学に出た若者が、作業者的な仕事を強いられています。(聞けないけど給料もめちゃめちゃ安そう・・)
そういった課題はあるので、移住先で新しく仕事を求めて何かをする、というのは、相当大変そうだな、という雰囲気を私は感じています。
ただ、自分のなかに手に職があり、それで仕事を開拓していく、という部分ですと開拓できる余白はめちゃくちゃあります。競合はほとんどいません!

9.田舎の人たちのおおらかさ、本当は結構色々困ってること

私の住む離島もそうですが、高齢者が多いです。
高校がないので、島民は中学を卒業した後は島を離れないといけません。
島に住む、ということは、Iターンをしないといけません。Iターンするためには仕事が必要ですが、
島内人口が100人台、需要がないため、売店などをするのはとてもリスクが高いです。
そのため、島に住む人というのはとても貴重ということもあってか、皆さんすごく親切にしてくださいます。こんな私に「まだ若いのに!」という言葉をよくかけてもらいます。切ないです。

高齢者はみなさん元気でいろいろ雑談します。
ここの地域の方はみなさん優しくて素直で閉鎖的。あと、結構人のうわさや陰口が好き。
この島の生活で、原始的な生活のなかでもヒエラルキーが作られる本質をみたような気がしました。(詳しくはあまり言えないけど)

あと、税金が人口減少でどんどん高くなっているんです。
みなさんおおらかなのに、おおらかなせい?で、環境が悪くなっていっているように私は思ってしまいますが、それはまだ真相はわかりません。私の税金は東京のときに比べて(年収は微増なのに)倍くらいになりました。ただ、皆さんはそれでもおおらかで現状を受け入れています。

満員電車はありませんが、荷物が届かなかったり、いろんな整備を自分たちでやらないといけなかったり、みなさん元気だけど、大変なご苦労は多いです。

この辺のことを考えるとつらいです。

10.なにも変わらないのよ

まあ、移住して
前は、9時に起きるのもしんどかったけど、朝8時には起きれるようになったし、洗濯物は乾き放題だし、のんびりした気持ちでいきています。野菜が育てられるようになるなんて思ってもみなかったし。

まあただ、自分自身については、何も変わっていないです。引っ越しただけで何かが変わるなんて甘いですよね。

この生活で何かを生み出さないと変われないんだろうな、と思います。変わりたいのか?というのもあります。

そんな感じです。まだ進捗報告でした。読んでいただいた方になんか感じ取れることはありますでしょうか。
よろしくお願いいたします。