デジタル広告の需要が高まり、今ではマスメディアと呼ばれる新聞・雑誌・ラジオ・テレビコマーシャルの広告費が右肩下がりになっている中、デジタル広告における広告費は右肩上がりとなっています。このような中、デジタル広告の効果を上げるためには、ランディングページの利用が欠かせません。今回は、そんなランディングページを利用するメリット・デメリットや、マーケティング視点を踏まえた制作手順についてご紹介していきます。
ランディングページについて
まず、ランディングページとはそもそもどのようなものか、見ていきましょう。
ランディングページとは?
ランディングページの「ランディング」とは「着地」を意味しており、検索エンジンによって検索したユーザーがクリックした際にリンク先となる初めのページや、Google広告など、デジタル広告からのリンクによって初めに表示されるページのことを言います。
どのような時に利用する?
ランディングページは、一般的にデジタル広告を利用する際に使用されます。例えば、Google広告やYahoo!リスティング広告などで出稿した広告のリンク先として利用されることが多く、広告をクリックしたユーザーに対して自社の商品やサービスを訴求するために利用されるケースが多くなっています。
ランディングページで期待できる効果は
ランディングページを利用することで、期待できる効果にはどの良なものがあるのでしょうか。
購買意欲を高める
ランディングページで期待できる効果の一つに、購買意欲を高めるということがあります。ランディングページの特徴として、今は縦長タイプのランディングページが一般的となっており、一つの商品やサービスに対して一つのランディングページを作るというのが主流の方法となっています。そのため、一つの商品やサービスを紹介するためにストーリー性を持たせ、高い訴求力を持つページになるため、ユーザーの購買意欲を高める効果が期待できます。
制作側のストーリー通りに読んでもらえる
ランディングページでは、制作時にストーリーを持たせ、想定しているターゲットに対してどのように訴求していくかを決めていきます。そのため、そのストーリーを元に上から下へと構成していきますが、閲覧しているユーザーも、スマホでもパソコンでもタブレットだとしても、上から下へと読んでいくため、制作側のストーリー通りに読んでもらうことができます。
ランディングページが利用されるようになった背景
従来の数年前までの「ホームページ」では、会社のパンフレットのように、会社で提供している商品やサービスをカタログのような形で紹介していることがほとんどでした。閲覧しているユーザーも、情報が溢れていない時代には、そのカタログ形式のホームページを閲覧することで、自分の気になる商品やサービスを探して問い合わせをしていたという時代もありました。しかし、現代においては、情報やモノが溢れ、閲覧しているユーザーは、企業のホームページに行くまでに、商品やサービスを比較し、既に「どの情報を知りたいのか」を明確にしてサイトに訪れているケースが多くなっており、その一つの商品について深く知りたいと思っているユーザーが多くなっています。そのため、ランディングページを利用して、一つの商品やサービスを訴求するということがユーザーの満足度を高め、企業としては訴求力の高いランディングページを利用するようになったと考えられます。
ランディングページを利用する上で知っておきたい用語
次に、ランディングページを利用する上で知っておくべき用語についても見ていきましょう。
ペルソナ
ランディングページを制作・運用する上では、ペルソナ設定をすることが望ましいです。ペルソナとは、ターゲットのようなもので、ターゲティングをするときに例えばポスティングにおいては、「地域」や「年代」、「性別」などを設定し、それによってチラシのデザインなども決まると思います。ランディングページを利用したWebマーケティングにおいては、そのような幅広いターゲットではなく、1人の想定するターゲットの人物像を決めます。その人物像を決めることで、その一人に合わせたデザイン・ストーリーを決めていくことができ、デザイン性や想定するターゲット像を明確にすることができます。具体的には、「42才独身女性、北海道札幌市西区の1LDKに住み、市役所に勤めて、ペットは猫を飼い、趣味は海外ドラマ鑑賞、両親は東京に在住」など、細かな設定をすることで、その一人の人物像を作り上げます。
読了率
次に、読了率についてですが、読了率とは、その字のごとく、「読んでくれた率」です。読了率は、〇〇%という形で表現され、高ければ高いほど、良いランディングページであると言え、低ければ低いほど、ユーザーにとって価値が低いランディングページと言えます。
直帰率
次に、直帰率ですが、ランディングページにユーザーが訪れてから、閲覧した後にすぐにサイトを離れてしまうことを直帰と呼び、その割合を直帰率と呼んでいます。この直帰率が高くなるのがランディングページの特徴とも言え、通常のサイトでは、サイトのTOPページから自分の欲しい情報を探しに行くため、すぐに直帰することは少ないですが、ランディングページは、ユーザーが求めているであろう内容を直球で届けるため、基本的にユーザーは直帰するか制作側にとってプラスのアクション、つまりコンバージョンするかのどちらかになることがほとんどです。
コンバージョン率
次に、コンバージョン率ですが、コンバージョンとは問い合わせなどを設定しますが、コンバージョンに至った率をコンバージョン率と呼び、ランディングページでは、このコンバージョン率を測定してより高くしていくということが求められます。広告などの着地ページとして利用されるランディングページでは、ユーザーからのコンバージョンを高めるため、様々なテスト・分析を行い、コンバージョン率を高めていきます。商材やコンバージョンの内容によっても異なりますが、コンバージョン率が1%という目標を立てたとき、100名のユーザーがランディングページを訪れた場合、1名の問い合わせをもらうようにするというのが目標となります。
ランディングページを利用するメリット・デメリット
次に、ランディングページを利用するメリット・デメリットを見ていきましょう。
ランディングページを利用するメリット
まずは、ランディングページを利用するメリットですが、代表的なメリットとしては、「訴求力を高められる」「改善ポイントが明確になる」「デザインの自由度が高い」などがあります。
・訴求力を高められる
ランディングページは、一つの商品やサービスを縦長のWebページでストーリー仕立てに表現するため、ユーザーの心理を意識しながら訴求することができるため、訴求力の高いページにすることができます。一般的に商談による営業や、電話営業などでも、ストーリー仕立てに資料を組み立てたり、トークを組み立てたりしていますが、それと同様にWebページにおいてクロージングをかけていくということができるのがランディングページの強み、メリットと言えるでしょう。
・改善ポイントが明確になる
次に、改善ポイントが明確になるという点もメリットと言えるでしょう。ランディングページは、分析ツールを利用することで、どこまで見られているのか、どのような部分に着目されているのか、どのような部分が見られていないのかを分析することができ、改善ポイントが明確になります。そのため、改善を繰り返して効果を最適化することができ、PDCAサイクルを回すことで、より品質の高いWebページを作ることができるようになります。
・デザインの自由度が高い
次に、デザインの自由度が高いことも、ランディングページのメリットと言えるでしょう。ランディングページでは、そのページだけしか訪問しない方が多いため、他のWebページとの整合性を保つ必要性がなく、ランディングページ一つ一つが全く異なるデザインとなるのが一般的です。設定したペルソナに合わせてランディングページ一つ一つのデザインを作りこむため、デザインの自由度が高く、訴求するために一つ一つに力の入ったデザインで作りこむことが出来ます。
ランディングページを利用するデメリット
次に、ランディングページのデメリットですが、デメリットには「直帰率が高くなる傾向にある」「制作コストが掛かる」などが挙げられます。
・直帰率が高くなる傾向にある
ランディングページのデメリットとして考えられる一つに、直帰率が高くなる傾向にあるという点があります。これは、ランディングページはデジタル広告などで利用されることが多く、その広告をクリックしたユーザーが着地するページとして利用され、想定しているユーザーの悩みや課題に直結した内容を盛り込むため、基本的にユーザーは他のページに推移しない傾向にあります。そのため、初めに着地したランディングページからすぐに離脱してしまうユーザーか、コンバージョンに至るユーザーに振り分けられ、他のページに移行するというユーザーが少なくなり、結果的に直帰率が高くなります。直帰率が高くなることで、サイト内にユーザーを回遊させることができないため、その点はデメリットと感じることもあるでしょう。
・制作コストが掛かる
次に、ランディングページを制作するためには制作コストが掛かります。制作会社によってもことなりますが、通常のWebサイトのWebページは1ページあたり数千円~3万円程度となりますが、ランディングページは1ページあたり10万円~30万円程度の制作費用が掛かります。これは、ランディングページのデザインや構成など一つ一つのページに力を入れて作りこみをするため、これほどの費用が掛かります。しかし、ランディングページは企業の売上・利益に直結するページとなるため、これくらいの制作費用をかけてでも利用するべきと言えるでしょう。
マーケティング部分を含めたLPの制作手順
次に、ランディングページの制作手順について見ていきましょう。
ランディングページを作る前に決めること
ランディングページを制作する上で重要なのは、事前の準備です。制作に入る前にどのようなターゲットにどのような情報を届け、どんな結果を作りたいのかを決めることが必要です。
・ターゲット(ペルソナ)
ランディングページを制作する上で、まずはターゲット、ペルソナの設定をすることが必要です。ペルソナについては先述致しましたが、1人のユーザーに絞って具体的なターゲット像を作り出し、そのペルソナに対して効果的なランディングページの構成・デザイン・訴求ポイントを作ることが必要となります。制作を依頼する側としては、デザインについて「カッコ良い」「オシャレ」「かわいい」といった判断をしがちですが、あくまでもペルソナ設定したユーザーにとってどう映るかというのが重要なポイントとなります。
・提供する商品・サービス
次に、提供する商品・サービスを決めることが必要です。ランディングページを作ると決めた段階で、販売する商品やサービスは決まっていると思いますが、あれこれ複数の商品を販売しようとせず、一つの商品やサービスに絞り込みをすることが必要です。ペルソナにとっての商品価値やサービス価値はどこにあるのか、訴求ポイントを決めることも必要となります。
・コンバージョン(資料請求・来店・メルマガ登録・LINE登録・問い合わせ)
次に、コンバージョンの内容を決めることも必要です。コンバージョンの内容とは、資料請求なのか、来店してほしいのか、LINE登録してほしいのかなど、どのようなアクションをユーザーに求めるかを決めるということです。例えば、LINEの登録ユーザーを集めたいのであれば、資料請求や来店を重視せず、LINE登録をしてもらうためのランディングページに特化することが必要となり、コンバージョンの内容によってランディングページの内容が異なるため、目標をしっかり定めることが重要です。
・キーワード
次に、ペルソナがどのようなキーワードで検索するのかを分析し、仮説を立て、そのキーワードに合わせたランディングページにすることが必要です。例えば、キーワードの想定が「ノートパソコン 中古」というものだった場合、リンクした先のサイトで初めに表示される画面に「新品のデスクトップパソコン」が表示されていたら、ユーザーの解決したい課題とは異なるため、すぐに離脱してしまう可能性があります。このように、キーワードを想定して制作することも、ランディングページでは必要となります。
ストーリー・構成を固める
次に、ストーリー・構成を固めることが必要です。ペルソナや商品・サービス、コンバージョンを固めた後、どのようなストーリーでユーザーにコンバージョンに至ってもらうのかを構成し、何を伝えて、どんな心理になってもらうかを固めていきます。基本的には、ファーストビュー、共感部分、ベネフィット、エントリーフォームを構成し、ストーリーを組み立ててある程度のアウトラインを作ります。
ファーストビューを固める
次に、構成が決まったら、ファーストビューから作りこみをしていきます。ファーストビューとは、ユーザーがランディングページを訪れて初めに表示される画面のことで、このファーストビューがランディングページの読了率に大きく影響与える部分となります。ファーストビューでユーザーは「このページを見るべきか・見ないべきか」を決めると一瞬で判断すると言われており、ファーストビューがユーザーにとって興味を持たせるものであれば、そのままユーザーは画面をスクロールして読んでくれますが、ファーストビューでユーザーが興味を持たなければ、そのまま直帰してしまい、ファーストビューから下のコンテンツは読んでくれなくなります。このように、ランディングページでは、ファーストビューがとても重要な役割を持っています。
それぞれのブロックを固める
次に、ファーストビューが固まったら、その下のブロックを作りこんでいきます。初めに構成したアウトラインを元に、それぞれのブロックを作りこみ、画像やテキスト情報、イラストや動画などを利用しながらコンテンツを完成させていきます。一度作ったランディングページはそれで完結ではなく、ユーザーの動きを分析しながら改善していきます。
エントリーフォームを設置する
次に、エントリーフォームを設置します。エントリーフォームとは、問い合わせや資料請求などをする際に「名前」「電話番号」「メールアドレス」などをユーザーが入力する画面で、このエントリーフォームの内容によって、離脱されてしまうこともあるため、慎重に検討することが必要です。例えば、あまりにも情報を取ろうとして入力する内容が多い場合、ユーザーは途中で嫌気がさして離脱してしまうこともあります。そのようなことにならないように、エントリーフォームをユーザーにとって使いやすく、入力しやすいものにしていくことが必要で、これをエントリーフォーム最適化(EPO)と呼んでいます。
ランディングページを効果的に利用するための分析手法
次に、ランディングページを効果的に利用するために必要となる、分析手法についても見ていきましょう。ここでは、代表的な「Google Analytics(GA)」「ABテスト」「ヒートマップ」についてご紹介していきます。
GA
Google Analytics(GA)とは、Googleが無料で提供しているWebサイトの分析ツールで、サイトの解析を行う上では必要不可欠なツールの一つとなっています。Google Analyticsで分析できることには、ユーザー数やアクセス数、離脱率や直帰率、滞在時間などがあり、どのようなユーザーが訪問しているのか、ユーザー属性なども知ることができます。デジタルマーケティングにおいては、分析データが全て数値として捉えることができるため、このような分析ツールを利用することは、デジタルマーケティングの強みの一つであると言えるでしょう。
ABテスト
次に、ABテストという分析手法があります。これは、例えば一つのランディングページのエントリーフォームのボタンが「緑色」が良いのか「赤色」が良いのかを分析するために、それぞれ同じデザイン・内容のランディングページで、エントリーフォームの色だけを変更したものを2つ用意し、それぞれでどのような結果が出るのかを分析したものです。この結果によって、緑色の方がコンバージョンに至るケースが多かったという結果が出れば、ユーザーにとって緑色のボタンの方が良いということになり、ランディングページをより効果的なものにすることができます。このように、ランディングページを改善していくことを、ランディングページ最適化(LPO)と呼んでおり、それにはABテストが欠かせません。
ヒートマップ
次に、ヒートマップというツールをご紹介します。ヒートマップとは、様々な企業から提供されているツールですが、代表的なものに「マウスフロー」や「PTエンジン」などがあり、これらはランディングページの読了率や、クリックしている場所、ユーザーのマウスの動きなどを定量的・定性的に分析することができるツールです。ランディングページを運用する上で、ヒートマップは欠かせないツールとなっており、Google Analytics(GA)のようにアクセス数や滞在時間などもわかるようになっています。マウスフローなどでは、訪問したユーザーがどのようなマウスの動きになっているかを動画で見ることもできるため、ユーザー心理を分析する上では便利なツールの一つとなっています。
ランディングページでコンバージョンを高める手法
次に、ランディングページにおいて、コンバージョンを高める手法について見ていきましょう。
埋め込み型フォーム
ランディングページでコンバージョンを高めるためにできることの一つに、エントリーフォームの改善があります。ランディングページを制作する際、自社のサイトの中で制作しようとしたとき、元々あるエントリーフォームへリンクさせるという方法がありますが、その場合、ユーザーはランディングページに設置されているボタンをクリック(またはタップ)して、エントリーフォームのページへ移行します。そのような動きをさせると、一部のユーザーからは、「別のページに飛んだ」と思われ、心配になって離脱してしまうということがあったり、「面倒だな」と思われてしまったりします。そのようなことが無いように、エントリーフォームはそれぞれのランディングページで埋め込み型にすることで、離脱を防ぐ対策ができます。
ファーストビューの工夫
そして、ファーストビューの工夫をすることも重要です。先述しましたが、ランディングページにおいてはファーストビューがとても重要な要素となるため、ABテストを繰り返し、ユーザーにとって価値のあるコンテンツとして、興味を持たせる内容にするため、ファーストビューには工夫をすることが必要です。その工夫の一つに、人が映っている画像を利用する、想定するキーワードの写真を配置するなどがあります。
まとめ
ここまで、ランディングページとはどのようなもので、利用することにはどのようなメリット・デメリットがあるかをご紹介してきました。デジタルマーケティングが多くの企業で利用されている中、ランディングページの利用は、どのような企業でも検討するべきものではないでしょうか。特に、デジタル広告の利用を検討されている企業にとっては、ランディングページを制作すること、最適化していくことが必要不可欠なことと言えるでしょう。現代においては、様々なツールが無料で提供されているため、それらを活用していくことで、企業の売上・利益を高めていくことができるでしょう。